こんにちハニー!、ミツバチ博士のふくちゃんです。
これまでTwitterの動画にて様々な養蜂、はちみつの知識をお伝えしてまいりました。これからはこちらの公式HPでも、「ふくちゃんの養蜂図鑑」と題し、より簡潔に分かりやすくまとめた養蜂やはちみつの知識をご紹介します!
早速、今回は日本で一般的に飼育される2種類のミツバチの違いについてご紹介します。
☆見た目の違い
セイヨウミツバチは、一般的にはオレンジ色の鮮やかな色をした体が特徴です。このオレンジ色はイタリアン種系統の血が入ったものに現れます。また、中にはカーニオラン種という黒い種類もいます。
一方のニホンミツバチは、セイヨウミツバチに比べて体が一回り小さく、巣穴の六角形の大きさも異なります。夏場と冬場で体の色も変わり、冬場は黒っぽい色、夏場は少し黄色みが強くなり、セイヨウミツバチと見間違えるほどになることもあります。
☆両種の性格
ミツバチを含め、一般的に昆虫は冷たい印象のある生き物かもしれませんが、ミツバチというのはとてもいろんな表情をする生き物です。育児のため、巣の中の温度を35℃前後に温めているため、実際に温かいのです。
セイヨウミツバチもニホンミツバチも、基本的にこちらから何かしなければ向かってきて刺すようなことはなく、とてもおとなしい生き物たちです。基本的には穏やかですが、自身や巣が危険にさらされる時は怒ります。
セイヨウミツバチは、人間に品種改良され、蜜を集めてくる群れが選抜されてきたことで、内検や採蜜を行ったり、少々手荒に扱っても逃げたり、気が荒くなることはありません。
ニホンミツバチは、セイヨウミツバチと比べるととても臆病なミツバチです。実際、巣箱の蓋を開けた段階で暗がりに逃げようとすることもあります。気に入らないことがあると巣を放棄して逃げてしまうほど臆病な生き物です。ニホンミツバチが巣を放棄して逃げないように「はちまいったー」という道具を使います。
どちらも飼ってみるとそれぞれの違いがよく分かります。
(※)画像中のはちまいったーと隔王板は後日詳しくご紹介します!
☆利用する蜜源の違い
セイヨウミツバチは、元々人間が飼育してきて品種改良を行ってきた結果、その時期に効率的に集められる花から蜜をたくさん集めてくるという習性があります。
一方、ニホンミツバチは品種改良されてない野生のミツバチですので、近場の草花から集めてくるという習性があります。
この結果、蜜を集める量はニホンミツバチよりセイヨウミツバチの方が多くなります。
☆蜜の違い
セイヨウミツバチの場合は、1種類の花から蜜や花粉を集めて単花蜜がつくられるというのが1番の特徴です。もちろんその時期に他の花から蜜や花粉を集めてくる場合もあり、そういった場合には百花蜜という形になりますが、セイヨウミツバチの百花蜜は花のそれぞれの特徴がしっかり出てくることが多いです。
一方でニホンミツバチの場合には、色々な花から蜜や花粉を集めますが、それぞれが融合したような味わいのはちみつになることが多いようです。
なぜこのようになるか、詳しくはまだ解明されていません。
☆蜜量の違い
セイヨウミツバチの場合は、蜜を集めるミツバチを人間が選抜、改良してきたミツバチです。人間の方でしっかり管理をし、群れが強く、花が十分にある地域では年間平均、一つの群れから20kg〜100kgくらいのはちみつが採れます。地域によって振れ幅はあります。
一方のニホンミツバチは、在来的な巣を潰す方法、重箱式等の形で飼う場合は年間5kg〜10kg、枠式で上手に飼っても最大20kgくらいしか採れません。ニホンミツバチの群れがセイヨウミツバチの群れと比べ、規模が小さいことも要因です。
そのため、ニホンミツバチのはちみつはセイヨウミツバチのはちみつと比べ、希少であり高級になります。
両種は発祥の環境も異なり、セイヨウミツバチは雨季と乾季のはっきりした草原の気候、トウヨウミツバチは東南アジアのような常に花のあるジャングル地帯が発祥と言われています。
蜜を集める傾向に差ができたのはこれも1つの要因です。
☆スズメバチへの対応
一般的にはニホンミツバチがスズメバチを取り囲んで殺す、「蒸し殺し」というものがテレビ等でも放映されており有名かと思います。
ニホンミツバチの場合は、一匹が犠牲になって他のミツバチたちが一斉にスズメバチに群がり、飛翔筋という筋肉を震わせて熱とCO2濃度を上げスズメバチを蒸し殺しにするという方法で対応します。
しかし、オオスズメバチなどが集団で来た場合は、巣を放棄して逃げてしまうこともあります。
一方のセイヨウミツバチの場合は、スズメバチに群がることは群がりますが、対応としては針で刺して相手を殺そうとするような状況がほとんどです。そのため、キイロスズメバチやコガタスズメバチのようなスズメバチにはある程度は対応できますが、オオスズメバチに襲われると、セイヨウミツバチの場合は全滅させられてしまう場合もあります。