Q:「折角苦労して採ってきたハチミツを、人間が搾取してしまうのはかわいそうじゃないか?」
A:春から初夏に掛けて花蜜の最盛期になると、巣の中が蜜で充満してしまいます。
そうなると女王蜂が1日2000個近く卵を産む産卵場所がなくなってしまいます。
こうなると、もうここでは狭くて生活が出来ないのか、と群がいらいらしてくるのです。
そもそも、ミツバチたちは、熊に襲われたり、山火事にあったりと、太古の昔から多くの災難にあってきました。
そうした災難にあった場合、群を護るために直ぐに避難出来るように常時たっぷりのハチミツを貯めているのです。
しかし、銀座のビルの屋上には熊が来ないし、山火事もない。更に人工の巣で最初から家を作る必要もないので、その分蜂蜜が余ってしまうのです。
しかし、子育てが出来ないくらいハチミツを採ってしまう、群が崩壊してしまいます。
これは絶対にしてはいけないので、これからの季節と近隣の花蜜の状況を確認しながら、十分に注意して採ミツを実施しております。
夏になって蜜枯れする頃は採りませんし、秋は冬を過ごす大切な食料ですから、これも当然採りません。こうして、人間とミツバチの良好な関係を維持しながら飼うことが、養蜂の基本なのです。
田中 敦夫