2011年03月28日

「都市から農業フォーラム」を開催しました。議事録をアップいたします。

    「都市から農業フォーラム」 14時45分~銀座紙パルプ会館3階
                                            作成:藤原愛弓

―高安
都市から農業フォーラムを始めます。2007年に松屋の皆さんがグリーンプロジェクトを作り、田んぼも作り、3点セットで取材が多かった。線から面への活動展開。夜の蝶の皆さんも昼のミツバチの活動を開始。それらの活動をまとめたものが「屋上農園のご案内」。
中央区との共同事業として環境の出前授業として、銀座中学校に。5月には新潟に行く。
銀座ビーガーデンでは菜の花畑(福島から送られてきたもの)。これらの種を学校にも。銀座ビーガーデンを学校で。
一番私たちが問題だと考えているのは都会の人の無関心。温暖化問題など、頭でしか考えない。都会の消費者の意識が変われば、地域も変わる。これを解決するのは都会の人の1票。都会に住んでいるからと言って、地域は関係ない、ではなく水や空気などは地域とつながっている。
私たちは銀座の屋上では銀座でミツバチが飛べる無農薬の農園を作る。ファームエイドでは森里海がつながるネットワークづくりをしている。いろいろな地域にお邪魔しているが今まで忘れられていた伝統文化、食文化、地域文化などに21世紀後半にやってくるであろう環境問題への解決のヒントが含まれているのではないか。都会から農業を発信する都市から農業フォーラムを行いたいと思う。交流会にもぜひ参加を。
塩谷さんをご紹介したいと思います。

―塩谷さん(秩父今宮神社) 
埼玉県秩父市の水の神様を祭る神社。大龍王を祭っている。イザナミ、イザナギが祭られている。竜神信仰(自然への恐れ、感謝)+観音信仰(慈悲の心、利他の心)=万物生命の根源、愛、生きる力。
もともとは鬼怒川と利根川は別の川であったが、徳川が大事業を行った。暴れる利根川を鬼怒川にそそぎ、暴れないようにした。
荒川、利根川は衣食住で江戸を潤す。衣→養蚕、食→広大な関東平野に田畑がたくさんできた。川を下って食料を供給してきた。住→秩父の山から木材が切り出され、浅草や江戸川の下流に集められ、江戸の町の建設に使用した。
木材を長距離はこぶのは大変であったため川が使われた。王子製紙、十条は木材の水揚げの地であった。
森は海の恋人運動・・・東京湾と鹿児島湾ほとんど面積が同じだが、漁獲量は東京湾のほうが30倍多い。なぜ→鹿児島は火山のカルデラであったため鹿児島湾にはいる大きな川はない。しかし東京湾は大きな川がそそぎ、非常に豊かな海となっている→江戸前のすしや浅草のりの生産を支えていた。川はこのように農業、林業、水産業をつないできた。
すべて川を通じてつながってきた。江戸の人々は、自分たちの豊かな生活は、山から海からの恵みで自分たちの生活が支えられていることを直感的に感じていた。江戸の神社のみでなく、秩父のほうに来て川の恵みや海の恵みに対して感謝の気持ちを詣でた。
山の上流に自分たちの命のルーツがある→だからこそ祈りを山にささげる。
秩父の山に降る雨が中流から下流までを潤す→山に水を返す祭りが現在も行われている秩父夜祭。川を通じたつながりは人が町から山に祭りを見に行くというつながりも生まれる

鹿島灘に50頭のゴンドウイルカが打ち上げられた。(地震1週間まえ) 鹿島神宮の鳥居が倒れた。高さ10m、重さ100トンあった。鹿島神宮の境内に要石というのがあり、これが地中のナマズの頭を押さえている石と言われていた。
昔は天災に対する恐れがあり、必死に祈った。しかし今の科学でも地震は止められない。
ナマズが地震の影響といわれるようになったのは、江戸時代から。さらに昔は虫が地中にいて地震を起こすと思われていた。

日本では神様に対してお供え物をする。古来から行われてきた。真ん中のお皿にはお米かモチ。隣には塩。伝統的な神様の祭り方。
神様に備えるのは米、水、塩、酒、榊→里、海、山などの恵みを象徴している。これらのバランスを考えながらお供えしている。米、水、塩に加えて海の幸、山の幸を備える。どの神社にいってもこれらが供えられている。神様の世界でももり、里、海のつながりが大切であることが示されている。水も大事で、米と一緒に中心に供えられている。
水は天と地とをつなぐもの。実りのサイクルを作り出すもの。循環を繰り返すもの。

・水の働きの両面性(穢れを払う神道の考え方1)
1「穢れ」→浄化。祓い、清め
2「気枯れ」→(活性化)恵み、うるおい

穢れを払う→レジュメの一番最後のページの「大祓い言葉」人々の日常生活の穢れを取り払い、海の底に持って行ってくれる。だから神社で大祓いをする。

山川草木国土悉皆成仏・・・草木まで成仏して仏になる。山や川もすべて仏になれる。→すべてのものに神が宿り、すべてのものに霊魂がある、というのが日本の考え方。ものを作ることは、魂を込めること。
富士山に神がいるのではなく、富士山そのものが神、という考え方が日本の考え方。
今回の地震という天災を人間の力ではどうすることもできない。自然の大きな力に対しては恐れを抱く必要があり、同時に感謝する必要がある。
神道の考え方2
「畏敬 」「感謝」の上で、心身を清め、感謝の気持ちを表し、偉大な神々に呼びかけ、自分たちの物語を語り、心一つにみんなの幸せを祈る。

このような祈りは、日本が復興するうえでも大事だと思う。

 
16時10~ 事例発表  司会 藤崎健吉氏(株式会社藤崎事務所 代表)

松良宗夫(名古屋マルハチプロジェクト)
曽根佑太(鹿島建設)
白坂亜紀(銀座社交料飲協会理事 )
田中淳夫(銀座ミツバチプロジェクト副理事長)

一人約10分の発表、事例紹介1時間、その後パネルディスカッション

―松良
広告会社である。名古屋を活動拠点にしている。長者町でもミツバチプロジェクトをやってる。非常に近いところで飼っている。
名古屋市の市章がまるはちと呼ばれている。だからマルハチプロジェクトと呼ばれている。
ミツバチを飼っているのは、人間にも生態系にも重要な生き物であるため。(農作物の6割以上の役に立っているミツバチ)なぜ都心でやっているのか?→都心はミツバチの住みやすい環境であるため。
西洋ミツバチを3群飼育していた。夏は乗り切ったが、冬が思いのほか寒く、1群しか乗り切れなかった。
みなさんとのつながり・・・大名古屋大学、名城小学校での授業。
ハチミツを使って・・・両口屋是清、ラベイユ、フルーツパーラー、ベターフレンズ、キルフェボン、ジョエル・ロブションなどがハチミツを使用した商品を使っている。

これからのこと・・・農業をとしてもつながっていきたい

―鹿島 曽根さん
ミツバチ、ヤギプロジェクトの説明
2年前からミツバチプロジェクト開始
受粉に着目した活動。 IPIの設立。活動の背景には受粉する昆虫が世界的に減っている。農業、生態系に役立っている動物の減少2008年に、FAOが送粉者のおかれている現状について報告書でまとめた。→コーヒー農園では送粉者の存在により、コーヒーの収穫量が15~50%増える。ハチのすむ森林に近ければ近いほど、受粉率が上がる。森林を残さないとコーヒーの収量は上がらない。日本でもそばについての結実率研究が行われている。同様に森林面積が増えると結実率が上がっている。

農作物による研究はあるが都市部の事例はない。そこに着目して。南長崎の社宅にミツバチを設置。社員が1週に1~2回調査。先ほどは農作物の調査を行っていたが、都会の中にミツバチを飼うと、周辺にミツバチが飛んで行って生態系を回復してくれる→これを定量化することが大きな目標の一つ。あまり大きな緑地で花が、そこでミツバチがどのような植物を蜜原にしているかを調べた。自転車にのって駆け回り、ミツバチがきているか確認。時間、何匹来ているか、GPSで緯度経度、樹種樹高などを調べて写真などをとる。

ききみみずきん・・・野鳥の鳴き声から生物種の特定を支援。→これを蜜原調査に活用できないか考案中。身近にある緑が蜜原になっていることが調査の結果わかった。

1000ポイント以上データをとってきた。訪花頻度などの傾向わかってきた。また、どのような植物が蜜源になっていたのかもわかった。

ヤギプロジェクト・・・新たな緑地管理手法 騒音や廃棄物、CO2 を排出しない緑地管理。継続的に除草することで、在来種中心の植生にかわっていく。
セイタカアワダチなどは、根が残ると来年も生えるが、ヤギを使うと、継続的に刈っていくため在来種中心の植生になる。匂いなどの心配があったが大丈夫であった。
生き物の仕組みを都市の中に活かす仕組みづくり→都市機能を高めることができる。人間の生活空間の向上にもつながっていく可能性がある。鹿島建設としてはCSRとしてではなく、快適な都市空間を作ることに貢献していければと思う。

―白坂亜紀
銀座のバーの理事の方。組合の中で銀座緑化部を作り、緑化部長を務めている。夜の銀座と緑化はどうつながるのか→はじめは縁もゆかりもないと思っていたが、ミツバチの周りで野菜を育てていこうという活動が徐々に広がっていった。銀座のママだけではなく若いホステスも参加して、白鶴ビルの屋上などで活動。(菜の花を植えたり、麦踏み、稲の収穫)銀座産の日本酒をいよいよ製品化へこぎつけ。
ファームエイドの場でカクテルをふるまう。組合85周年として、銀座のハチミツとウイスキーとで作ったハニハイをGSK(銀座社交料飲協会)の公式カクテルとして出した。現在66店舗でハニハイを提供している。その中から緑化部に寄付していただいている。それが新たな緑化活動へ続いていく。
今後の活動としては、新たに建てる銀座のビルを緑化していく予定。銀座に新しくできたビルでもOKをもらった。
銀座食材さがしツアーを行いたい。地域ではいいものでもどう売ればいいかわからないものを、銀座の店舗で職人につくってもらう→日本の失われつつある食の復活、新しい食のブランドができるかもしれない。

―田中淳夫
今度は鳥を飼いたい人が出てきた。銀座のまちのなかの屋上で薄い土をひき、農的活動レベルでもさまざまなみなさんとのつながりが生まれた。効率化をしすぎて今は人と人の縁が消えている。ひととひととをつなげることで、社会にある問題が解決するのではないだろうか?
たとえば菜の花植えるだけではインパクトが少ない→白坂さんたちと協力して、メディアにも大きく取り上げられる。菜の花はアブラムシがたくさんついてしまってあまり取れなかったが、それと福島の菜の花を合わせて油を作ったら好評であった。銀座のさまざまなシェフがアイディアを出して効果的な利用法を見つけ出している。
銀ぱち出前味噌・・・500g1000円で売る予定。ホテルでウエルカム味噌スープにしよう、など様々なアイディアが生まれ、実際に動いていく。
ほか耕作放棄地でそばを売れたりなど。蕎麦粉としてだしてもほとんど売れないので、そばボーロとパンケーキを作った。福島で記者発表する予定だったが震災によりできなくなってしまった。食べれば食べるほど、地域を応援できる、緑化が進むような仕組みが作れないかどうかを考えている。
福島だけでは解決できない。安全の確認をしながらではあるが、福島、宮城のものを食べて応援することによって、もう一度希望を与えていきたいと思う。長期で地域の経済を応援する必要がある。もう一つ別に動いているものとして、ひめのもちの加工場をつくることで、地域の人々をまた一つに集めたい。ミツバチが舞える環境でとれるものは安全であるという考えのもとミツバチの里を作りたい。斑点米になってしまうなら「ひめほくろモチ」にしよう。じつはこれのほうが農薬を使っていないという証明になり安全であるということを食の安全として提言していきたい。銀座でそれらを購入することで地域の経済も支えていけたら。

パネルディスカッション

―塩谷
都市から農業を考えていく、地域とかかわることでどのような可能性があるのかをディスカッションしていきたいと思う。
COP10は、現場はどのようなものだったのか?
―松良
名古屋市民は、それなに?というレベルの人多く。関心がある人とないひとに大きく分かれた。

―藤崎
今日話を聞いてみてどうだったか?

―塩谷
人間と生き物が一緒にやっていく・・・とてもいいこと、ほのぼのする。

―藤崎
線から面への活動展開でどんどん深いところまでディベロップしていくにあたり、曽根さんの話がおもしろかったが、コーヒーは自家受粉だがそれをミツバチが他家受粉することにいみがあるのか?ヤギプロジェクトはどのようなかんじか?

―曽根
自家受粉のものでも実が大きくなり、数が増える。未成熟な実も減り結果的には収量が増えていく
ヤギは、食べるものがなくなると鳴き出してしまうため、適正な移動が必要である。

―藤崎
土にかかわるようになって具体的に何が変わったのか?

―白坂
お客さんからたくさん質問される。農業、環境が常に話題になるクラブになった。農業体験がない人が意外と少なく、小さいころにやっている人が多かった。震災で食べるものも不自由になったとき、どのくらいの面積でどのくらいの野菜がとれるのかという質mンを受けることもあった。今回の震災で食べる=生きるということがよりつながったのではないか。50~60代の人が多い。

―藤崎
今後どういう方向に発展させていきたいか

―白坂
農業に興味関心が高まっている。情報発信が、ママの仕事。経済のトップクラスの人々がやってくるので、その人々に情報を発信していくことが仕事。
―藤崎
銀ぱちとして、どのような方向性があり得るのか、何が一番重要なのか?

―田中
はじめはこうなることを意図したわけではなかった。銀座でハチを飼うのはハードルが高かった。刺されたらどうするのかなどの心配はたくさんあったが。街にそぐわないものは淘汰されていくのが銀座である。逆にさまざまな新しいことを受け入れていく場でもある。
山でやってたら農業、都市でやればアートにもなりえる。
銀座のママが屋上の緑を増やす活動をする→ハードルを越えていく。
また、大阪梅田の繁華街で養蜂スタート。お互いにコンペティターであるとともに協力する仲間でありたい。

―藤崎
一人でやらない、みんなでやる→20世紀は市民活動でも競争の世界であったが、21世紀はいいところは真似をして、みんなでわかったことを持ち合ってあたらしい価値観を作り社会をシフトさせていくことが私たちの役割ではないかと思う。

皆さんのほうから質問はありますか?

―藤原
① ヤギでなくてヒツジはどう?
マルハチさんは何かの時に移動できる場所を作っておいたほうがいいかもしれない。

―曽根
当初はヤギ、ヒツジプロジェクト。なんだえもきれいに食べてくれるのはヤギであった。たまに食べてはいけないものを食べてはいていることもある。守備範囲は広い。ヒツジは、芝ならきれいに食べてくれる。

―藤原
チーズもうまく作ってください

―藤崎
このあと銀座にもヤギが育つようになるといいですね。

放射能の残留の問題で、茨城とついているだけで警戒されてしまう。
銀座で買ってあげるなどしてあげれば、銀座で使っているなら大丈夫じゃないか、となるのではないか。環境、食などの意識の共有ができていないとかえって混乱を招くことになってしまう。銀座―福島などつながりがあり、共有している中から正しい情報発信ができれば!

―塩谷
ミツバチの住める街を作ろうという理念が素晴らしい。西洋は自然から搾取することを考えるが、ミツバチのために私たちは何ができるのか、を考えてこのような背景のもとにすすんでいるミツバチプロジェクトは素晴らしいと思う。

―松良
皆さんの話を聞いて一年目で駆け出しのところもあるが、名古屋市もそのうち条例で緑化率を上げる、などが出で来るかもしれないので、花や実がつく植物を植えるように提言していきたい。自分たちだけでなく、ほかの地域の人々とも協力してやっていきたいと思う。

―藤崎
これで都市から農業フォーラムを閉めさせていただきます。皆さんありがとうございまし
た。

―高安
助成金はなくなってしまったが、年1度は開催していきたいと思う。ミツバチの住める街を近いエリアでつくっていくことを目標としていたが、これからは東京―秩父など末端の町と源流の村がつながっていけるようにしてより広いエリアでの活動として世界から注目され、世界の人々が日本にやってきてお金を使ってくれることで、日本が立ち直れるような活動をしたい。ありがとうございました。

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