ミツバチフォーラム
在来種みつばちの現状と未来
日時:2011年4月29日 16:00~18:00
場所:紙パルプ会館2階シンポジウム会場
パネリスト:大谷剛氏(兵庫県立大学自然・環境科学研究所教授)
川嶋辰彦氏(元学習院大学経済学部教授)
藤原誠太氏(日本在来種みつばちの会会長)
記録者:藤原育菜
大谷剛氏から有機農業と生物多様性の話、川嶋誠太氏からタイの森林保全型農業について話して頂き、アジアに広く分布する在来種の東洋みつばちの現状と未来について考える。
①大谷剛氏からの話
現在の日本農業の基盤である農業基本法は生産の効率化を考えた法である。
一般的に現在の農業は生産の効率化のために農薬や化学肥料を使う。しかし、これらを過剰に使用すると農産物へ濃縮され私たちの口に入る。また、農薬によって病害虫に農薬の耐性が付き従来の農薬が効かず、かえって増加する悪循環が発生する。
対する有機農業が目指すもの生態系との調和。土の中に住む菌などの生物の多様性が保たれる方法だ。
この生物多様性は種の多様性・遺伝的多様性・生態系の多様性なども含まれる。
この生物多様性は、生物の生活条件が厳しい状況になるほど多様性が減る。よって、農薬を使用するほど多様性が減っていく。
行動型の多様性は、特にみつばちから知ることができる。みつばちの仕事は巣の中から外へと成虫になってからの日数を追って分業をしていく。また、日本みつばちは湿気に強い・病害虫に強いなど日本の風土でつちかってきた特徴がある。
②川嶋辰彦氏からの話
みつばちは自然環境のバロメーターである。
タイ北西部にあるホエヒンラートナイ村では大みつばちのハンティングが行われている。これは命綱なしで竹釘を刺しながら20~30m上の大みつばちの巣を取る仕事だ。この時、持続的に採取可能にするため、蜜房だけを取り残り3分の1を残す。このような熱帯林の保護・有効活用を考えたルールに従い、自然環境に対する作法と照らし合わた自発的線引きの構成させることは白カレン族の森林管理哲学といえる。
村の人々はお金に執着せず、ゆとりある生活を送る
っている。これは心のゆとりがあるからだと考えられる。このような自発的生活の中にお金ではないきらめく価値がある。
③総括
農薬は自然に悪いので使うなと言うより、みつばちに悪いから使うなと違う視点から言った方が理解されやすい。このようにみつばちから有機農業を考えてみてはどうか。また、地域文化にも目を向けるべきだ。例えば焼畑は環境に悪いと思われがちだが、古くから行われている地域では多様性を大切にする行為でもある。
東洋みつばちは蜜をすべて取ると、いじめられたと思い逃げてしまう。巣の3分の1を残す民族の考えのように、みつばちの気持ちを考えた共生が大切だ。町の中でもそれは言える。