こんにちハニー!ミツバチ博士のふくちゃんです。
これまでTwitterの動画にて様々な養蜂、はちみつの知識をお伝えしてまいりました。これからはこちらの公式HPでも、「ふくちゃんの養蜂図鑑」と題し、より簡潔に分かりやすくまとめた養蜂やはちみつの知識をご紹介します!
第2回では養蜂作業で使用する道具、その中でも特に採蜜作業に関連するものについてご紹介します。
☆燻煙機
この燻煙機はミツバチたちを大人しくさせたり、ミツバチがかたまってしまった場所に煙をかけ、退いてもらったりするために使う道具です。
銀座では新聞紙を燃やして煙を発生させますが、山で養蜂をされる方はまつぼっくりや落ち葉などを燃やすこともあります。巣箱を開けた際に溢れているミツバチたちにこの煙をかけると大人しくなり、作業がしやすくなります。セイヨウミツバチを飼うには必須の道具です。
☆水煙剤
今日はこちらの水煙剤と呼ばれる薬剤についてご紹介します。こちらは「Bee Silent」という名前でAmazonでも販売されています。この道具はスズメバチの攻撃性をなくすことを目的に開発された「スズメバチサラバ」の成分を霧吹きに入れ、ミツバチにも使えるようにしたものです。
使い方は、この水煙剤を水で4倍に希釈、攪拌すると乳白色の液体になり、それをミツバチの巣箱を開けたときにひと吹きすると、ハチが燻煙器で煙をかけられたのと同様に大人しくなります。
燻煙器は煙が発生するので、どうしても燻煙器が使えないような場所や、燻煙器があまり効かない時期に使用します。また夜間、巣箱を移動させる際に、ハチが巣箱の前に貯まってしまっている場合などは、これを吹きかけると一斉に巣の中に入ってくれます。
☆天布
この天布は日本の養蜂家の巣箱には必ず使われているもので、木綿や麻などでできた布を使います。
ミツバチたちは蜜がたくさん入ってくると自分たちで巣枠外に巣をつくってしまいます。
この天布がなければ、巣箱と天井(巣箱の蓋)の間に巣をつくってしまい、巣箱が開かなくなってしまいます。このように想定外のところにつくられる巣を養蜂家たちは「ムダ巣」と呼びますが、これをつくらせないようにするのがこの天布の役割です。海外では、この天布をかける部分に中蓋があり、天布の役割を果たしています。銀座では、画像のように手ぬぐいを切って使っています。
☆ハチブラシ
このはちブラシは文字通り、ハチを払うのに使うブラシです。
採蜜前には、まず巣枠についたハチをふるい落としますが、ふるい落とした後にハチが数匹ついたままのことがあります。そのミツバチたちを払い落としたり、巣箱を複数継いだり、蓋を閉める際に溢れてしまっているハチたちが挟まらないように、燻煙器で煙をかけ、退いてもらうのに使用します。
はちブラシを使う時には、手首のスナップで弾くように使うのがコツのひとつです。
☆糖度計
日本では水分含有量22%以下のものが”はちみつ”と定義されており、私たち銀ぱちでは蜜が入ってる枠1枚1枚の糖度を確認していきます。ミツバチは巣の上の方から蜜を溜めていく習性があり、枠の下や中央は比較的糖度が薄いことが多いです。巣枠下部の蜜を糖度計のプリズムに塗って覗くと、青と白の境目が見えます。その際銀座では79度以上であれば採蜜し、79度未満であれば、またミツバチに預けて糖度が上がるのを待って採蜜する、というようにしています。
海外では基本的にはちみつは水分含有量20%以下と定義されていますが、日本では、高温多湿な時期に採れるはちみつは糖度が上がりにくい傾向にあるため、水分含有量22%以下と定義されているようです。
(※日本では糖度計(Brix計)の80度≒水分含有量20%としてみていますが厳密には糖度と水分含有量は異なります。)
☆蜜刀
この蜜刀は両刃になっており、ハチが蜜を貯めて蓋をかけたところを切るために使う刃物です。
1度切った後に残った部分を逆から切ることができるように両刃になっています。また蜜葢の蝋の融点が低いため、蜜刀は温めてから使用することで切れ味良くスパッと切れます。銀ぱちでは、蜜刀を使用直前までお湯につけておき、お湯を拭ってから蜜蓋を切るという形で使用します。
☆遠心分離器
採蜜では糖度をチェックし、蜜刀で蜜蓋を切った巣枠はこの遠心分離機にセットします。この時、なるべく同じ重さの枠を入れることで、遠心分離器をガタつきにくくすることができます。
2枚掛転換遠心分離器はやや大型のものになりますが、巣枠の片面の採蜜が終われば、中の巣枠を入れるカゴを反転させて再度採蜜することができます。
小型の固定式遠心分離器は、カゴが動かない形になっており、片面を絞った後は枠を抜いて反転させ再度回して採蜜します。比較的小規模の養蜂で使うような遠心分離機です
1度の採蜜作業で10枚以上の巣枠を採蜜する場合には、上記の反転式の遠心分離器の方が仕事効率が良いと言えます。